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ツバメは言わずと知れた渡り鳥であり、北半球に広く分布しています。
冬を南の越冬地で過ごした後、春になると日本などに飛来し、春から初夏にかけて営巣し、ヒナを育て、秋になるとまた南に飛んでいきます。
何もはるばる遠くまで飛んでこないでも、南でのんびり過ごしていればいいような気もします。ツバメは暑がりだから夏は北にやってくるのでしょうか。
でも、一年中南にいる鳥もいます。ツバメだけが特別に暑がりとは考えにくいような気もします。
その答えのヒントは、春に北にやってくるということにあります。
日本などの営巣地は、南の越冬地に比べ、高緯度にあります。ということは、分かりやすくいえば、南よりも寒いということです。
暑い環境では、散った葉っぱや倒れた木は、あっという間に微生物によって分解されてしまいます。すなわち、土になる前に全て分解されてしまうということです。
熱帯雨林などでは、木が高い密度で茂っているにもかかわらず、その土壌は痩せています。これは、熱帯雨林の木を伐採すると、その回復に長い年月がかかることの理由でもあります。痩せた土壌では、木が生長しようとしても栄養分が少ないからです。
それに対して、寒い地域では、散った葉や倒れた木はなかなか分解されません。低い温度によって、有機物を分解するための微生物の増殖が制限されるからです。分解されずに地表に積もった有機物は、肥沃な土壌を形成します。
しかも、熱帯雨林の木が常緑樹中心なのに比べ、高緯度地域の木は広葉樹が中心です。広葉樹は秋になると落葉し、大量の有機物を地面に供給します。
秋が終わると次の季節は冬です。冬の間は有機物はますます分解されず保存されます。
そして、長い冬が終わり、春がやってくると状況は一変します。冬の間保存されていた地表の有機物は豊かな栄養源となり、大量の虫を発生させます。
なぜ、春にツバメは北にやってくるか?
その答えは「豊かな土壌を持つ地域では、春になると大量の虫が発生する」からです。
ツバメは、その繁殖のためにエサとなる虫を求めて、北へとやってきていたのです。そして、気温が下がり虫が少なくなってくると、競争が激しいにしろ、より虫の多い南へと移動するのです。
南にも春も、もちろん虫はいます。しかし、それだけ競争も激しい環境です。
繁殖のために場所を移動することが、より種の繁栄のために有利であるからこそ、ツバメは遠い距離を飛んで、春になるとはるばる日本までやってきていたのです。
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