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1.サルの分布
現在世界に存在するサルは、大きく原猿類と真猿類の2種類に分けられます。真猿類はさらに新世界ザル、旧世界ザル、類人猿に分類されます。
原猿類はアフリカ、アジアに生息する最も原始的なサルで、それほど知能は発達していません。キツネザルやメガネザルの仲間で6科、50種が知られています。また、マダガスカルには原猿類のみが生息しています。
新世界ザルは南米に住むサルの仲間です。マーモセットやオマキザルの仲間で2科、50種が知られています。
旧世界ザルはサルの仲間では現在最も繁栄しているグループです。日本でもなじみのニホンザルがこのグループです。オナガザル1科、60種が知られています。
類人猿は、チンパンジーやゴリラ、オランウータンなど、ヒトに最も近い仲間です。というより、ヒトもこの中に含まれる動物です。2科、12種が知られています。かつては旧世界ザルよりも繁栄していましたが、現在はヒトを除いて衰退し、絶滅寸前の種が多くなっています。
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2.「サル」の進化
中生代は恐竜が地上の主要な生態的地位を占めており、ほ乳類は存在していても、ネズミのような姿で細々と生活しているだけでした。
霊長類の祖先と考えられているのは、白亜紀後期から存在していたプルガトリウスという動物です。
6500万年前の地球への隕石の衝突によって、それまで繁栄していた恐竜は突然地上から姿を消し去り、絶滅してしまいました。
プルガトリウスは中生代末の大絶滅を幸運にも生き延びることのできた生物のひとつでした。
中生代は恐竜が地上を支配しており、生態的地位は恐竜によって奪われていました。しかし、その恐竜が絶滅したことによって、ほ乳類の前には空白となった生活空間が広がっていました。
大絶滅から生き残った生物は、開いた生活空間に向けて様々な適応放散を繰り返しながら、種を分化させていきます。
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始新世は全般的に温暖な気候でした。そのため、広葉樹がうっそうとした森林を形成します。それに伴い、樹上生活に適応した形態を持つ生物が進化してきました。
それがプルガトリウスから分かれて進化してきたアダピス類(原猿類の祖先)とオモミス類(真猿類の祖先)です。
オモミス類の中から本格的なサルの仲間が現れます。木から木へと飛び移るためには立体視をする能力が必要です。そのため、顔は扁平化し目は顔の正面に位置してきます。枝をつかむための指を持った手も発達し、知能もしだいに高くなってきます。
木がまばらな場所では、木から木に移動するためには地面を歩かなければいけません。しかし、地面を歩くときには危険な肉食動物に襲われる可能性があります。
木と木の間隔の狭い森では、枝から枝に飛び移れば危険な地面を歩く必要はありません。
サルはやがて、地面に降りなくて生活できるまでに樹上生活に適応していきました。
本格的なサルとなった真猿類の一部は、4000〜3000万年前頃にアメリカ大陸に移り新世界ザルの祖先となりました。南米の最初の真猿類の化石は2500万年前のものが見つかっています。
新生代にはすでにアフリカ大陸とアメリカ大陸は離ればなれとなっていました。そのため、新世界ザルの祖先は大西洋を島づたいに海流に乗って(!)移動したと考えています。当時の大西洋の広さは今の半分くらいでした。
アフリカに残ったサルからは旧世界ザルと類人猿が進化していきます。この2つのグループの共通の祖先は、漸新世のエジプトで発見されたエジプトピテクスと考えられています。当時はアフリカ北部にも森林が広がっていました。
漸新世に入ると気候は徐々に涼しくなり、ヨーロッパや北アメリカからは森林が後退していきます。現在はヨーロッパや北アメリカにはサルの仲間は生息していませんが、鮮新世の頃まではヨーロッパにもサルの仲間が生息していたようです。
1800万年前に生まれたプロコンスルは最も最初に現れた類人猿であり、現在の類人猿、そしてヒトの遠い祖先と考えられています。
そして、1000〜500万年前にはアフリカ大陸を地溝帯が分断し、地溝帯の東に取り残されたサルの中から、ヒトにつながる種が誕生していきます。 |
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