ウサギの避妊手術

 ウサギのメスは、子宮腺癌になりやすいことが知られており(5才以上で約50%との報告)、若いうちに避妊手術をさせておくことが推奨されています。
 一方で、
気管チューブが使用困難心拍低下を開腹させる薬(アトロピン)が効きにくいストレスに弱いなど、麻酔においてのリスクが犬猫よりも高い動物でもあります。
 ウサギで避妊手術を希望される場合、そこらへんを説明した上で、手術の選択をしていただくことになります。

 麻酔が効いたら、仰向けにして保定します。
 このへんは犬猫とそれほど変わりません。

 皮膚や腹膜はとても薄く、繊細です。傷つけたり、不用意に扱わないよう気をつけながら、開腹します。
 この子は子宮が大分発達していたため、すんなりと引き出すことができます。
 子宮は犬猫よりももろいため、扱いには注意が必要です。
 ウサギの子宮の特徴は脂肪がたくさんついていることです。
 ウサギの子宮間膜は、脂肪の貯蔵のために重要な部位となっています。
 卵巣近辺の血管を結紮し、切り離します。
 ついで、子宮間膜の血管も縛り、出血しないようにします。
 左右とも処置をしたら、子宮体部がフリーになります。
 あとは子宮体部を縛り、切断すれば、山場は越えたことになります。
 切断した部位が膀胱などの腹部臓器に癒着しないよう、切断面を縫合して縫い合わせておきます。
 手技をひとつひとつきっちりやっておくことが、一番大切なことです。
 ここまでの手技において、出血はほぼありませんでした。
 腹膜と皮膚を縫合したら手術は終了です。
 あとは覚めるまでしっかりと確認します。
 導入時と覚醒時が一番気をつけなければ行けないので、油断はできません。
 手術の難易度から言うと、小型犬よりも少し難しい、というところでしょうか。
 麻酔が一番気をつけなければならないので、神経をすり減らすところです。