ウサギの子宮内膜炎による急性出血

  急にお尻から大量に出血し始めた、というウサギが来院しました。
 クレートの中を見てみると、クレート内が一面血の海になっています。
  診察台に乗せて見てみると、陰部から出血しているようでした。

 ウサギは子宮系の病気が多いため、子宮腺癌子宮内膜炎からの急性出血かを疑いましたが、出血の仕方が尋常ではないため、急いで手術をしないと状態がどんどん悪くなっていくことが予想されます。
 そのため、飼い主さんにリスクを説明した上で、急いで開腹手術を行うことになりました。

  術前の出血の様子です。
 クレートの中は来院時、まさに血の海でした。
 預かってからケージの中にいる間も、だらだらと出血が続いている模様です。

  お腹を開けて子宮を引き出してみると、色が悪くなっていて血液らしき液体の溜まっている部分が見つかりました。
  もう片方の子宮(ウサギは子宮が双角子宮といって二股になっています)は綺麗な色をしていました。
 子宮腺癌だとボコボコしてしこりのような感じになっているのですが、子宮腺癌を疑う病変はありませんでした。
  定法通り卵巣近辺の血管をシーリングで処理したのち、子宮の根元の処置に移ります。
 指を指しているのは膣の部分ですが、血液が溜まって膨らんでいます。
  膣の部分で結紮し、切断した状態です。
 出血がないことを確認したのち、腹腔内に戻します。
  あとはお腹の中に異常がないことを確認して閉腹します。
 子宮以外に異常は見当たらなかったので、出血場所は子宮のようでした。
  術後、ウサギさんは無事に出血も止まり、退院してくれました。
 ウサギは多産の動物であるためか、子宮関係の病気がとても多い動物です。
 
 ウサギでだらだらと血尿が出る場合、まず子宮腺癌などを疑うのですが、子宮内膜炎では、急性に、大量の出血が見られることがあります。
 様子を見ていては、出血多量で命に関わりますので、早期の手術が必要となります。