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「食欲がない」というウサギが来院しました。
腹部を触診してみると、下腹部に大きな塊が触知されます。超音波検査の結果、パンパンに膨満した膀胱でした。
レントゲンを撮ってみたところ、尿道内に結石が詰まり、それによって尿道閉塞が起こって膀胱がパンパンになっているということが判明しました。
血液検査の結果、重度の腎不全の状態になっており、一刻も早く閉塞を解除しないといけない状態です。
飼い主さんにリスクを伝えたのち、緊急処置を行うことにしました。
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レントゲンです。骨盤の遠位に白い球状に見えている物体が閉塞している結石です。 |
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横向きのレントゲンです。
メスであればこの大きさの結石でも通過することが期待されますが、オスはメスよりも尿道が長く狭いため、この位置で詰まってしまったようです。
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このままでは鉗子も結石の位置まで届きませんので、尿道を切開し、結石の位置までアプローチすることにしました。 |
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近位まで切開していくと、徐々に結石が触知され始めました。
もう少し切開しないと石が出ないため、切開の範囲を広げていきます。
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切開を広げると、結石を掴んで引っ張り出すことができました。
結石はまんまるなので、尿道を完全にふさいで尿が通らなくなってしまっていたようです。
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結石を取り除いたのち、チューブを膀胱まで差し込んで、残尿を除去しました。
通常ウサギの尿は薄くてきれいな色なのですが、膀胱粘膜から出血がおこり、濃い褐色の尿になっていました。 |
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尿道と皮膚を切開しましたが、皮膚だけ縫合して、尿道は解放したままにしておきます。
尿道を縫合すると、尿道の狭窄や再閉塞の原因になるかもしれないからです。
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摘出した尿道結石です。
ウサギの結石はほぼカルシウム結石ですが、まんまるの形になりやすいです。 |
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ウサギは食餌中のカルシウムをビタミンD非依存性に吸収し、尿中にカルシウムを排出する、という特徴を持っています。
そのため、ウサギの尿結石はとても多いのですが、ある程度の大きさの砂や石ならぽろんと排出されることも珍しくありません。
とは言っても、オスの尿道はメスよりも細いため、これくらいの大きさになると、オスでは閉塞を起こす可能性が出てきます。
尿道閉塞を起こすと、排尿ができなくなるため急性腎不全になって、そこから命を起こしてしまう可能性が出てきます。
今回の症例も、来院時にぐったりして急性の腎不全の状態になっていましたが、結石の摘出後はなんとか腎不全の数値も下がってきて、次第に元気食欲も出て、元通りになってくれました。
動物病院専用の低カルシウム食を食べながら、尿結石がまた出来ないかを注意していくことになります。 |
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