ウサギの去勢手術

 ウサギは、
・気管チューブを用いるのが難しい
・アトロピン(心臓の拍動を早めるための薬)が効きにくい
・ストレスに弱い
 など、麻酔に対してのリスクが犬猫に比べ高い動物です。

 ウサギの去勢手術をご希望とのことでしたので、麻酔のリスクを説明した上で、手術ということになりました。

 麻酔マスクは横から麻酔が漏れないよう、ぴったりと顔に当てる必要がありますが、かといって、助手の人がずっと持っているのは大変です。
 写真は自作の麻酔マスク保定マシーンです。この製作のために、高校時代から使っていたデスクライトが犠牲になりました。

 ウサギの陰嚢は、左右に離れていて、細長い、面白い形をしています。
 押すと体の中に入ってしまうので、消毒中にお腹に押し込まないように注意が必要です。
 陰嚢間が離れているので、ひとつのドレープで陰嚢を出しにくいです。
 そのため、左右を別々のドレープで覆い、片方ずつ手術をします。
 精巣上体が尾側に突き出ているのが特徴です。
 精巣を陰嚢から引き出すときには、やさしく先まで引っ張り出します。
 精巣を出したら、縛って切除します。
 後は定法通り皮膚を縫合して終わりです。
 ウサギはとても繊細な動物なので、麻酔には、とても気を遣います。
 麻酔が覚めて無事に起きてくれたときが、一番ほっとします。