死闘の果てに

 福知山は地方の都市です。都会では見られないような病気のコがちょこちょこ来ます。
 中でもインパクトの強さが大きいのが「イノシシにやられた犬」です。人には優しい猟犬も、イノシシを見ると闘争心むき出しに向かっていきます。イノシシは強力なキバを持っているため、犬の皮膚や筋肉は簡単に裂けます。腹をつかれたときにはよく腸がこんにちはと言っています。

 僕の奥さんは血が大の苦手です。腸が飛び出た犬を見てかなり衝撃を受けたようです。
 腸が出ていた場合は出ている部分をよく洗い、腹に戻してまたひたすら洗浄をします。洗浄には消毒能力の高い
AP水が大活躍です。これがあるとないとでは術後の腹膜炎の程度が大違いです。
 手術が終わり、奥さんはかなり気持ち悪そうにしています。

「大丈夫?」と聞くと
「ウィードの世界だ・・」とのこと。
「ウィードに出てくる犬は腸が出ても戦い続けるんやで」と言うので
「治療は誰がするの?」と聞くと、
「お互いなめて治してる」だって。
マジかよ・・

 昔は武士でも腹を切られると助かりませんでした。無事に手術が終わっても術後の腹膜炎が一番心配です。バイ菌が直接お腹の中に入っていくわけですから。あ〜、AP水があってよかった。