膝蓋骨脱臼の手術

 膝蓋骨内方脱臼は、本来なら膝の溝の上に乗っかっているはずの膝蓋骨が内側にはずれることにより跛行や骨の変形につながっていく病気です。
 手術は、いくつかの手技を組み合わせて行います。

 左の写真は、溝を深くするためにV字の溝を掘っています。最初に小さなV字を掘り、次にそれよりも大きなV字の溝をつくります。
 最初にできた切片は、溝にはめ込むことにより、関節軟骨を保ったまま溝をつくることができます。

 続いて、膝蓋骨の内側の位置に岸上式パラガードを打ち込みます。
 これは、膝蓋骨が脱臼しないように内側にガードレールをつくるものです。
 膝蓋骨の外側の関節包を縫い縮め、膝蓋骨が内側に脱臼しようとする力を抑えます。
 皮膚を縫合したところです。
 パラガードの突出が直接傷口の真下に来ないように、最初の切皮は内側にカーブを描いて行っています。
 術後のレントゲン像です。パラガードが膝蓋骨の脱臼を抑えるように位置しています。
 膝蓋骨内方脱臼は、持続的に内側に引っ張る力が足の骨に加わり、骨の変形を引き起こす病気です。
 若い時期に発見され、程度が強い場合には、場合により、早期に手術をしておくことが推奨されています。


その2


V字カットを2回行い、膝の溝を深くします。
今回は骨の変形が進行していたため、脛骨結節の転移も合わせて行いました。
骨が変形している場合は、膝蓋骨が内側に引っ張られる力が強いため、脛骨結節を外側にずらすことによって、パラガードにかかる力を軽減させます。
膝蓋骨は、溝の中にきれいに収まっています。
また、脛骨結節は2本のピンで下の骨に固定されています。