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他の犬と争って顔を咬まれ、目が飛び出たというパグが来院です。
急いで状態を確認すると、目が眼窩から突出した状態でまぶたを巻き込んでしまっており、戻らなくなっていました。 |
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初診時の状態です。
このままでは眼球と視神経がダメージを受け、失明してしまいますので急いで整復してあげなければいけません。
本人も興奮していましたので、麻酔をかけて処置をすることにしました。 |
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麻酔をかけて気管チューブを入れた状態です。
短頭種は麻酔のリスクも高いため、気をつけて麻酔管理をしなければいけません。
目の周りの毛を出来るだけ刈り、洗浄します。 |
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整復に向けて、まず上下の眼瞼に3本、糸をかけます。糸はできるだけまぶたの辺縁部分にかけるようにします。
上下に糸をかけた後、眼球と糸の間にメスの柄が通せるように、スペースを空けておきます。 |
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3本糸をかけたら、眼球と糸の間にメスの柄を通します。
メスの柄が通ったら、ゆっくり糸を引っ張っていきます。 |
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手技の原理は、
・眼球に巻き込まれて整復を妨げている眼瞼を引っ張って、巻き込みをなくす
・点で眼球を押すのではなく、メスの柄を使って、平面で押す
というものです。 |
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糸を引っ張りつつ、細心の注意のもと眼球を押して行くと、スポッという感触とともに、眼球が眼窩に収まりました。
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再脱出を防ぐためと角膜の保護のため、数日間、眼瞼縫合をしておいて、目を閉じておきます。 |
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処置後10日の様子です。
幸い、後遺症状もなく、視力も回復してくれたようです。 |
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パグやシーズーなどの短頭種では、外傷によって眼球が突出してしまうということがしばしば見られます。
眼球突出して、眼球が眼瞼を巻き込んでしまうと、眼球が戻ろうにも戻れなくなってしまいます。
視神経が伸ばされてダメージを受けるのと、眼球自体もダメージも受けますので、一刻も早く、病院で整復を受ける必要があります。
今回は幸い、後遺症状もなく回復してくれましたが、時間が遅れたりダメージが深刻だと、失明したり、眼球摘出せざるを得なくなってしまうこともありますので注意が必要です。
短頭種においては、外傷で突出してしまうこともありますので、頭部へのダメージを避けるというのがなによりですが、もしも突出してしまった時は、角膜を湿らせておいて角膜へのダメージを防ぐことと、早く動物病院へ連絡して処置を受けることが大切です。
短頭種を飼われている飼い主さんはなってしまったときに、慌てずに適切な処置をしてあげてください。
くれぐれも乾燥させたまま、放置してしまったりしないよう、ご注意ください。 |
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