猫の肛門嚢炎の破裂

 お尻に大きな穴があいたという猫が病院にやってきました。
 診察してみると、肛門嚢に炎症が起こり、そこが化膿して穴があいてしまったようです。飼い主さんと相談した結果、手術して治療することになりました。

 麻酔をかけ、しっぽを持ち上げたところです。大きな穴がぽっかりとあいています。下半分はまだ皮膚がついているように見えますが、壊死した皮膚ですので、数日後には、そこも脱落してさらに穴が大きくなってしまうことが予想されます。
 壊死した組織はしっかりと除去し、きれいな組織同士を縫合しないと、きれいに治りません。
 きれいな皮膚のところ同士を縫合できるように、メスで切開を入れます。
 壊死した組織をしっかりと取り除くため、ガーゼや鋭匙を用いて組織をきれいにします。
 きれいにしたら、皮膚を盛り上がらせ、感染を防止するためのアイプクリームを傷口にかけておきます。
 皮下織をていねいに縫い、皮膚の下の遊びをなくしておきます。
 皮膚を溶けない糸で縫合し、手術終了です。
 幸い、傷口は離解することも、感染することもなく、きれいに治ってくれました。
 猫の肛門嚢は、気づいたときには破裂しているということも多く、予防のしようもないのですが、気になる時は、早め早めに病院に連れて行き、しっかりと治療をしておく方が良いでしょう。