カメの中耳膿瘍

 耳のところが腫れて来た、というカメが来院です。
 中耳膿瘍と診断し、手術をして膿を摘出することにしました。

 初診時の外貌です。
 耳の部分が大きく腫れています。
 カメには外耳はなく、鼓膜がむき出しになっている構造になっています。

 上から見た外貌です。
 鼓膜の部分が大きく突出しているのが分かります。
 ケタミンで麻酔後、首を伸ばして保定します。
 カメは首を曲げようとするため、院長自作の「亀ロック」という器具を用いて、首が縮まないよう固定しています。
 切開をして、皮下を分離しつつ、膿の状態を確認します。
 膿とはいっても、カメの膿瘍はチーズのように硬く、どろっとは出てきません。
 ピンセットを用いて、膿をつかみ、摘出します。
 形が崩れると根元から出すことができなくなりますので、細心の注意を払いつつ取り出します。
 摘出したら、皮膚を縫合して終わりです。
 その後はきれいに治ってくれました。
 カメにおいては、しばしば発生の見られる病気ですが、きれいに取りきれれば、おおむね予後の良い病気です。
 問題は麻酔と首の保定ですが、ちょっとした工夫によって、割合手術もしやすくなります。