猫の脱腸


 4日前から下痢をしていた猫に、お尻の腫れが出来たとのことで来院でした。
 大分腫れてお、すんなりとは戻りそうにありません。
 麻酔をかけて整復することになりました。

 手で押して戻します。腫れているためなかなか戻りません。
 手で押して引っ込まないときには飛び出ている部分を切断する手術が必要です。戻ってくれた方が本人も楽です。
 しばらくの苦闘の果てになんとかスポン!と入ってくれました。
 今までのでっぱりがウソみたいになくなりました。ただまた腸が出てくる可能性があるため、腸の周りに巾着縫合を施して再脱出を防ぐ必要があります。
 1mlシリンジをお尻につっこんだ状態で周りを縫合します。こうしておけば締めすぎる心配はありません。
 完成です。少量の軟便をして欲しいので、高栄養の食餌に便軟化剤をしばらく続けてもらいます。
 排便時のいきみによって発生するため、下痢の治療も合わせて行っていきます。

脱腸というとあまり怖い響きがしませんが、脱出した腸は自力ではなかなか戻らず、乾燥し壊死してしまうため、早期の整復処置が必要になります。もし出てしまったときには腸が乾燥しないように湿らせておき、急いで病院に連れて行く必要があります。