鳥とマスクとクラミジア


 動物病院では、病院にもよりますが、いろんな動物を診ています。
その中で、犬猫とずいぶん違うのは鳥の診療です
(は虫類もさらに違いますが)。

鳥は、犬、猫、ウサギなどと比べて、大きな違いを持っています。
それは、「翼を持っている」ということです。

羽根をバタバタとさせると、羽根から細かいパウダーの様なものが舞い散ったり、
カゴの中のほこりが舞い上がります。
ほこりや羽根のパウダーは、人間にアレルギーなどを引き起こす可能性があります。

それ以上に困ることに、鳥は時折、
クラミジアという病原体を持っている可能性があります。

オウム病という名前を聞いた事のある人はけっこういると思いますが、
人に感染すると、鼻炎や頭痛、肺炎、高熱、筋肉痛などの症状を起こします。

人から人にはうつらないとされているのですが、
第4種の届け出伝染病に指定されている厄介な病気です
(鳥のクラミジアに届け出義務はありません)。
さらにやっかいなことは、鳥がクラミジアを持っていてもしばしば無症状で、
外見上は持っているかどうかは分からないという事です。

野生のオウム類での保菌率は約5%ということですが、
日本国内のオウム類では約20%が保菌しているという事で、
状態が悪い鳥での保菌率となると、
これよりもさらに数字は高くなるものと思われます。

鳥の症状は、基本的に無症状なのですが、時折、
元気・食欲の低下や下痢、体重減少などの症状を起こします。

"これ"という、特徴的な症状はないため、ぱっと見て、
クラミジアを持っているかどうかは判断する事が出来ません。

人間には、口移しでの餌やりや、糞便の吸入によってうつるのですが、
家の人の次にリスクが高くなって来るのは、
病気の鳥を連れてこられる獣医師という事になります。

心配ならマスクをして診察すればいいじゃないか、
と言われそうですが、飼い主さんの連れて来た動物を、
マスクをして診察をするというのも、
心証的に悪くならないかというのが一番の心配ではあります。

今のところは、元気そうだったらそのまま診察して、
くしゃみや下痢、元気の消失など、疑わしそうな症状を持っている場合は、
マスクをして診察をする事にしようかと思っています。

とは言っても、マスクをしていない状態でカゴの中から鳥を出すときなどに、
ばたばたと羽ばたかれて、ほこりがあたりに舞ったりすると、
自身の健康が心配になってしまうというのも実際のところですので、
どうしたものかなと、日々悩んでしまうところです。

鳥飼いの人は、自分の鳥を動物病院に連れて行った時に、
マスクをして触られると、どう思うものなんでしょうね。


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