しゅん膜フラップと抜糸のジレンマ


目の大きな犬では、
角膜に傷がついて潰瘍が出来るという事がしばしばあります。

小さな潰瘍であれば、目薬だけでも良くなってくれる事もありますが、
大きな潰瘍だと、手術が必要になる事がしばしばです。

中でもよく行う手術が、
しゅん膜と言う目の真ん中の膜を上側に引っ張って来て、
眼瞼に縫合して目を閉じる、「しゅん膜フラップ」という手術です。

人間であれば、眼帯をして目を保護するところですが、
犬の場合は、眼帯をしてもあっという間にはずしてしまうでしょうし、
「眼帯をして安静にしてもらう」という選択肢がとれません。

そのため、目を強制的に閉じておいて、
角膜を保護しつつ潰瘍の治癒を促す方法として、
目を手術によって閉じてしまう方法をとります。

目を閉じた後は、毎日目薬をさしてもらいつつ、
治った時点で糸を取り、しゅん膜フラップを解除する事になります。

うまく治っていれば、角膜の傷も塞がっていて、
きれいな状態になってくれます(後遺症状が残る事も多いですが)。

ところで問題は、目を塞いでしまうと、
塞がった状態では、まったく目の状態を確認する事が出来なくなってしまうという事です。

どれくらい塞いでいるかと言うのは、その時によって異なって来ますが、
中くらいの潰瘍の場合で4週間、
大きな潰瘍の場合は6週間くらいです。

抜糸をすると、糸がなくなってしまいますので、
目は開くようになり、潰瘍の状態が確認できるようになるのですが、
この時に、もしもまだ治っていなかったりすると、
もうしばらく目薬で治療して行くか、
もしくは手術してもう一度塞ぎ直すという事になります。

治ってしまえばフラップはいらなくなりますので、
早く取ってしまえば良いのですが、
かと言って早くとってまだ傷が治っていなかったりすると、
また手術が必要になってしまう可能性がある、
というのが、しゅん膜フラップの抜糸に関してのジレンマです。

早くとって再手術になるよりは、
長めに残していて、しっかり治ってくれる方がいいかなと思いますので、
焦って早く取るのはなるべく避けるようにしています。

人間だったら、手術して目を閉じる、
ということはあまりないのでしょうけれども、
いきなり片目が塞がって見えなくなってしまうわけで、
当の犬はどう思っているのだろうかと、いつも考えてはしまいます。

だいたいの子は、大人しくそのまま過ごしていますけれども、
今度は目が治って、急に両目が見えるようになったとしたら、
また今度は視界の広がりに驚くかもしれませんね。

パグやシーズーなど、目の大きな犬種の子では、
特に目を傷つける事故が多いですので、
くれぐれもご注意ください。


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