採血の簡単な犬、難しい犬
春になり、動物病院では毎日フィラリアの血液検査をしています。
動物病院にやってくる子は、おおむね大人しい子が多く、
台に乗せ、飼い主さんに支えてもらいながら手を持てば、
それほど苦労もせずに採血が終わる事が多いです。
暴れたり、怖がったりする子は大変な事もあるのですが、
嫌がらなくても、その子自体の構造的に、採血が難しい子と言うのもいます。
犬種により、難易度には差があります。
一番簡単な犬種と言うのは、セッターなどのような、
腕がほっそりしていて、毛が細い犬種です。
こういう犬では、血管がものすごくぷりぷりしていて、
アル綿で血管の上を拭くと、まるで血管が、
"ここに刺して下さい"と言っているかのように、
存在を主張しています。
アイリッシュセッターなんかではまず採血を外す事はありませんが、
万一採血を外したりすると面目丸つぶれです。
逆に、採血が難しいのは、
毛が密集していて、手がまん丸で、
血管の走行がまるきり見えないような犬種です。
中でも難しいのは、ハスキーや秋田犬などです。
こういう犬種は、アル綿で手を拭いても、
まるきり血管が見えません。
目で見えないのみならず、指で血管の走行を探ってみても、
指にはもこもこの毛が触れるだけで、まるで血管は触れません。
でも、血管が見えないからと言って、留置針を入れるのならいざ知らず、
フィラリアの採血をするために腕の毛を剃らしてもらうというわけにもいきません。
ではどうするかといえば、見ても触っても分かりませんので、
血管のあるべき場所を、心の中の目を使って、
頭の中に描き、そこに針を刺します。
犬種は違っても、犬である以上、血管の走行と言うのはほぼ同じですので、
"あるべき場所"に針を刺せば、たいがいは血管に刺さり、血が出て来ます。
とは言っても、太っちょハスキーなんかだと、
どこが手の前面か分からないくらい、
絶望的なほどに腕がまん丸な事もあります。
そんなときは、採血が一度でできず、
けっこう苦労する事もあります。
他にも、手が短いために難しいダックスやコーギー、
活動的すぎて落ち着いてくれないジャック・ラッセルなど、
犬種によって、採血の難しさは様々です。
ほとんどはすんなりできるのですが、
たまに苦労する子がいたりします。
外見的に難しそうと予想した様な時に、案外すんなりできた時には、
けっこうほっとしたりします。
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