細胞診の注意点


動物病院に連れてこられる病気の中で、
割合多いのが、「皮膚にしこりができた」という主訴です。

しこりと言っても、皮膚自体がポッコリと腫れている様なものから、
皮膚の下に丸いものがあったり、
表面が潰瘍状になっていたり、ものによって様々です。

皮膚にしこりがある時にまずするのは細胞診です。
これは、注射針をしこりに刺して、
取れて来た細胞を染色液で染め、
どんな細胞がしこりに含まれているかを顕微鏡で調べる検査です。

細胞診では何の腫瘍かを見分ける事は難しい事が多いのですが、
この検査では、とって来た細胞に、
「悪い細胞」が含まれていないかを調べる事ができます。

細胞診とは鍵穴から部屋の中を覗いて、
 悪い奴が部屋の中にいないかを調べる検査だ


とかつてえらい先生が言っていましたが、言い得て妙なのだと思います。

この検査で一番気をつけなければいけないのは、
「細胞診ですべてが診断できるとは限らない」
ということです。

細胞診は鍵穴から部屋の中をのぞく様なものですが、
覗いたところに、本当の犯人がうつっているとは限らないからです。

悪い奴がいたとして、鍵穴の向こうにはたまたま歩いていた通行人ばかりが見えていて、
肝心の犯人は見えていないかもしれません。

また逆に、炎症反応が起こっていたりしたときは、
悪人面をした警官のような細胞が見えていたりして、
犯人と見間違えてしまうことがあるかもしれません。

ただ、明らかに悪性の細胞が見えていた場合は、
それで気をつけて手術に踏み切る情報になります。

また、どれくらいの範囲で切り取るかという目安になります。
悪そうな細胞がでているときは大きく余裕を持って取らなければいけませんし、
悪い細胞が見当たらず、良性腫瘍が疑われた場合は、
もう少し小さめに取る事になります。

確定診断はあくまでも手術して送った病理検査によって行いますので、
細胞診の結果を過信する事はできません。

時には細胞診で説明した通りの腫瘍だと診断が帰って来る事もありますし、
逆に、「え〜っ」と驚く様な結果が帰って来る事もあります。

いずれにしろ、細胞診で腫瘍が疑われた場合は、
早めに手術なり、対処を考えた方がいいのは間違いありません。


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