パルボとジステンパー、未だ消えず


感染症と言うと過去のもののように考える人もいるかもしれませんが、
犬や猫の世界では、まだ根絶したとはとても言いがたい状況です。

中でも猫では、ヘルペスやカリシなどのくしゃみをする病気、
猫白血病や猫エイズなどのウイルス疾患などは、
日々の診療の中ではごく普通に見かける病気です。

犬においても、猫ほど頻繁ではないですが、
ウイルス疾患はまだたまに見かけます。

パルボウイルスは子犬で特に下痢を起こす病気ですが、
劇症型の場合は心筋炎を起こして、
一日以内に急死してしまう事もあります。

子犬で腸炎の症状を起こしている場合は、
パルボウイルスにも注意しておかなければいけないのですが、
パルボウイルスの怖いところは、
ウイルスが環境中で抵抗力が強く、
乾燥した状態で半年以上生き残っている事も普通ですので、
まさに
「どこに落ちているか分からない」
ということです。

もしパルボウイルスの患者がやって来て、
ウイルスが院内にまき散らされてしまうと、
院内が汚染され、院内感染を起こしてしまう可能性が出て来ますので、
動物病院にとっても、パルボウイルスは一番気をつけなければいけない病気のひとつです。

これだけ怖い病気ですが、実は成犬になると、
感染しても、症状を出さない動物も少なくありません。

知らないうちに感染して、
症状は出ないけれども、ウイルスだけまき散らしている、という場合、
ある意味、よりやっかいな状況ではあります。

ワクチンをうっていない犬の場合、
知らない間に周りにウイルスをまくという、
加害者になっている可能性もあり得ます。

すべての飼い主さんがワクチンをうっていれば、
ウイルスの発生も根絶される可能性が期待できるのですが、
現状、ワクチンをうっていない飼い主さんも少なくないため、
そういう飼い主さんの犬が感染し、
ウイルスをまき散らして、時折散発するもととなっていると言われています。

パルボ以外にも怖いウイルスの病気はいくつかあります。

ジステンパーも怖い病気のひとつですが、
なかにはいきなりてんかん発作が出始めて、
ワクチンをうっていなかったため、
ジステンパーの検査もしておきましょうということで検査をしたところ、
抗体価が高い「陽性」という結果がでるということもあります。

ジステンパーと言うと、咳をして、下痢や嘔吐をして、ハードパットになって来る、
というのが従来から知られている典型的なジステンパーの症状ではありますが、
中には今まで健康で、いきなり神経症状が出て来てしまうような症例もあります。

ワクチンさえうっていれば、そこまでの症状が出る事はまず可能性が低いのですが、
ワクチンをうっていないために動物が亡くなってしまったり、
後遺症状が出てしまったり、ということもあります。

僕の町でも、まだまだフィラリアも混合ワクチンも、
時には狂犬病すらもしていない、という飼い主さんはまだまだいるようです。

混合ワクチンをうっていない方がいらした場合は、
なるべくうってもらえるように、ウイルスの話をして、
接種を強く推奨していますが、
中にはそれでも断られてしまう事もしばしばあります。

ワクチンは、自分の動物を守るだけでなく、
他の動物に迷惑をかけないようにする意味もあるのですが、
狂犬病と違い、義務ではありませんので、
無理強いはできないのも実際です。

ワクチンに入っている病気は、
狂犬病よりも実際に感染する可能性は高いですし、
ウイルス疾患が発生すると病院内も消毒でてんてこまいになります。

動物も地域内にウイルスを広める感染源となりますし、
その飼い主さん自身にもウイルスが付着して、
周りの動物にウイルスを伝搬するベクターになる可能性も出て来ます
(発症するわけではないですが)。

怖いジステンパーやパルボなども、
ワクチンさえうっておけば、予防する事が出来る病気ですので、
自分の大切な動物を守るため、
そして周りに迷惑をかけないようにするためにも、
しっかりとワクチンをうっておいていただきたいと思います。


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