猫のワクチン、場所をずらして


予防できる病気に関しては、
ワクチンをうっておいて予防してあげた方が良い、
というのは犬も猫も同じ話です。

犬に比べると、猫ではワクチンをうっている率は少ないのですが、
実際には猫の方が、感染症の流行と言うのは頻度が高いですので、
猫にもワクチンをうってあげて欲しいところです。

ところで、猫にワクチンをうつ時には、
ひとつ注意している事があります。

それは、

「ワクチンをうった場所をカルテに記載しておき、
 毎年うつ場所を変える」

ということです。

というのも、猫ではワクチンと関連して、
「ワクチン誘発性の肉腫」
というものが知られているからです。

ワクチンというものは、体にとっては異物ですので、
ワクチンをうった後、注射液に対して炎症反応が起きます。

犬などでは、通常その炎症反応は一過性のもので終わり、
腫瘍になったりする事は通常ないのですが、
猫では、炎症反応から腫瘍に進むことがまれにあります。

そのため、肉腫ができても切除しやすいように、
尻尾の先などに注射を接種する先生などもいるようです。

もちろん、腫瘍化する確率と言うのは高いものではなく、
一万分の一以下の確率の、低い確率ではあります。

外にいる猫の約三割が、
なんらかのウイルスに感染していると言われているという事を考えれば、
ワクチンの利点とリスクを天秤にかけると、
断然、「ワクチンはうっておいた方が良い」
という事になるのですが、
健康な状態でワクチンを受けに行っているのに、
腫瘍などになってしまうと、飼い主さんも獣医師もショックを受けます。

したがって、低い確率であれ、そういうものが起こり得るということは、
ワクチンをうつ上で問題となります。

なるべくワクチンをうつ上では発生率を下げたいところです。
猫で肉腫と関連した報告としては、

「ワクチンを毎年同じところに打つと、
 炎症反応が繰り返し起こる事によって、
 腫瘍化する可能性が高くなるかもしれない。」

と言われていますので、
僕の病院では、カルテにうった場所をイラストで描いておいて、
毎年、時計回りに、少しずつ場所を変えてうつようにしています。

ところで、僕の病院では、カルテにうつ場所を書いているのですが、
転院して来た人などでは、
「去年はどこらへんにワクチンをうちましたか」
と尋ねても、なかなか覚えている人はいなかったりします。

「猫では、ワクチンをうつ場所は毎年変えておいた方が良い」


シンプルですが、実はけっこう大切な事ですので、
ちょこっと知っておいた方が良い知識だと思います。


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