猫のフィラリア、検査は必須ではない


フィラリアと言うと、犬だけの病気ではなく、
飼育動物では、猫とフェレットでも関係のある病気です。

犬ではフィラリア薬投与前の血液検査は必須なのですが、
猫やフェレットでは、検査は必須ではありません。

その理由としては、

・単数寄生が多く、抗原検査やミクロフィラリア検査をしても検知できない
・ミクロフィラリア血症がまれなので、副作用の出る可能性が低い

ということがあげられます。

犬は終宿主なので、犬は感受性が高く、
多数寄生をしますし、肺動脈の中に入り込んだ成虫は、
活発にミクロフィラリアを産み、体は重度のミクロフィラリアになることもしばしばです。

ところで猫などでは、終宿主ではないため、
感染は偶発的なもので、ミクロフィラリアもそれほど産生はされません
(以下、しばらく猫での話です)。

フィラリアの幼虫(L3)を蚊にうつされても、
ほとんどの虫体は、皮下組織で成長する過程で死にます。
その理由はおそらく、終宿主ではないためうまく成長できないという事と、
猫からの免疫で虫体が成長過程で死滅するためだと考えられます。

少ない数のフィラリア虫体は成長して、
L5(未成熟虫)という段階まで成長して血管に入り込みますが、
ほとんどは肺動脈までたどり着いた段階で死にます
(この時に一時的な呼吸器症状を示しますが、無症状の個体もいます)。

フィラリアの抗原検査は、雌虫の膣からの分泌物を主に検知するのですが、
未成熟虫ではまだ抗原量が少ないため、この段階では抗原検査では検出できません。

未成熟虫が肺動脈末端までたどり着き、
そこで成長した場合でも、ほとんどは単数寄生で、
ミクロフィラリアを出すまでに至りませんし、
ミクロフィラリアを出し始めても、じきに宿主の免疫の攻撃にあって、
フィラリア虫体は不妊状態になります。

そうなると、抗原量は上がりませんのでやはり抗原検査ではチェックされません。
抗体検査の方が検出率は高いのですが、
抗原検査で陽性となった個体のうちの、
5%ほどしか抗原検査で引っかからないとされています。

では抗体検査をすればいいのかというとそうでもありません。
抗体検査は、体に侵入して来たフィラリア虫体への抗体が体に作られているかを検査するものですが、
抗体価はL4後期、未成熟虫、成虫のいずれの感染に対しても上昇しますので、
抗体検査で調べると、成虫を持っていない個体も検出してしまう事になります。

要するに、

現段階では、猫のフィラリアをしっかりと検出する手段はない

という事です。

フィラリアの薬を飲む前になぜ検査が必要かと言えば、
ミクロフィラリアがいる時に投与すると、
肺炎や腎炎を起こしたり、アレルギー反応で犬が死亡する可能性があるからなのですが
(まれに肺高血圧からベナケバになる事もありますが)、
猫ではそもそもミクロフィラリア血症になることがまれであり、
なったとしても軽度で、なっている時期も限定的なものですので、
検査なしで使用しても安全性が高いとされています。

血液検査の利点としては、疫学検査として統計が取れると言うことがありますが、
猫自身への安全性という事について言えば、
検査は必須ではありません。

検査をしても引っかからない可能性が高いという事は、
逆に言えば、抗原検査をして陰性の結果が出ても、
それが「かかっていません」ということを保障するものではないという事です。

健康にしていた猫やフェレットが突然死するという可能性もありますので、
猫とフェレットでも、フィラリアの予防はできるだけしておいた方が良いと思います
(感受性はフェレット>猫です)。


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