「何かおかしい」と感じる心


 たいていの病気はすんなり診断がつき、すんなり治療が出来ることが多いですが、
時には気をつけないと、ありふれた症状のようでいて実は落とし穴がある、
と言う事もあったりします。

臨床において大切な事の一つは、
「何かがおかしい」
ということを、直感で感じ取る能力であると思います。

動物は言葉をしゃべれませんので、
どこがどう悪いとかをしゃべってくれるわけではありません。

また、飼い主さんも問題点に気づいていなかったり、
本当の問題とは違う事が気になって、
異なる事を主訴として来院して来ていたりする事もあります。

言われたところしか見ていなかったりして、
全体を観察するのを忘れていたりすると、
本当の問題点に気づかず、大切な部分を見落としてしまう可能性があります。

皮膚の毛並みが悪いと言う主訴で来られていても、
実は皮膚の問題ではなく、別のところに問題があり、
そこから二次的な症状として皮膚病が出ている、
などということもしばしばです。

目やにが出ると言う主訴だったりしても、
目が問題ではなく、実は体の中に大きな病気があったりして、
そのために目やにが出ているのかもしれません。

そこで、「何かおかしいな」と気づく事が出来れば、
本当の問題点が潜んでいる事に気づけるかもしれませんが、
そこで何も感じずに、問題点を見過ごしてしまえば、
出来るはずの対処が出来なくなってしまったり、
治療をするタイミングを逃してしまったりする事になります。

今治療をしていて、その反応を見ていると言うときでも、
予想している反応と違ったり、何か違和感を感じた時に、
自分が感じた違和感をしっかりと拾い上げることができるかが、
思わぬ事故を防いだり、
九死に一生を得る事になる境目だったりする事もあります。

おかしいと感じた時には、たいてい何かがおかしいからそう感じているということが多いです。
何かがおかしい時に、それをおかしいと思えず気づかないと言う事は、
臨床家としてよろしくない事です。

診察と治療には、すべて理論的に考えて進めて行く事が必要ですが、
その入り口と曲がり角には、しばしば、
動物的なカンというものも必要です。

動物的なカンと言うのは、
"これは・・”"と、"その時"に、直感で感じる事が出来るかと言う事です。
心の中に、危険を感じるためのセンサーを持つと言う事でもあります。

心の中のセンサーをみがいて行くには、
勉強して知識を得て行きつつ、日々の診察で経験を積んで行くという事が大切ですが、
一方で、センサーの感度を保つためには、
精神的な部分も大切です。

中でも、疲れやストレスがたまったりしていると、
心の中のセンサーが麻痺してしまうのか、
日頃なら見抜けるはずのものが見抜けなくなってしまったりする可能性があります。

いつ何時何があるか分からないと言う注意を持っておくと同時に、
気力、体力を充実させて、日頃の診療に望みたいと思います。


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