右の卵巣の方が苦労します


避妊手術のときは、卵巣を外に引き出して来て、
根元を縛って切るという手技を行います。

卵巣は左右に二つありますので、
当然卵巣の根元を縛って切る動作は、二回繰り返さないといけません。

その左右にあるうち、どちらを最初にするか、
ということにおいては、だいたいの獣医師は左の方からするのではないかと思います。

なぜなら、
「左の卵巣の方が出しやすい」
からです。

人間も含めて、犬や猫の腎臓と言うのは、
右の腎臓が前にあって、左の腎臓が後ろにあります。

なぜ腎臓が互い違いにあるかと言えば、
大動脈から血管が分岐する時に、
同時に枝分かれしているのではなく、
先に右の血管が流れ込み、それから続いて左の血管が分岐してと、
分岐部にずれがあるからです。

国家試験の時には、
「右前の、左遊走腎」
と覚えたものですが、左の方が、
後ろにあり、しかも腎臓の固定がややルーズとなっています。

卵巣と腎臓は、靭帯で繋がって固定されているのですが、
卵巣を引っ張って来る時には、その靭帯によって引っ張られていますので、
左の腎臓の方が後ろにあり、体への固定もルーズですので、
引っ張って来やすいです。

その一方、右の腎臓の後ろから卵巣を出して来るときは、
場所自体が少し前にあり、しかもしっかり固定されていますので、
なかなか引っ張りだして来づらいです。

大型犬の避妊手術と言うのは、しばしば苦労する事の多い手術ではあるのですが、
左がすんなり出て来たので楽勝かなと思っていたら、
右の卵巣がなかなか出てこなくて、
結局四苦八苦、ということもしばしばあったりします。

僕は右利きなので、仰向けになっている動物の右側に立つと、
左の卵巣からアプローチする方がやりやすいのですが、
左利きの獣医師だと、僕とは逆の位置に立って、
左の腎臓から取る人も多いでしょうから、
手術のしやすさと言うのは僕とはちょっと違う部分もあるのだと思います
(もしくは、右の卵巣からするよという人も案外多いかもしれません)。

あえて逆の位置に立ってやってみようとは思わないのですが、
慣れたやり方で安全に行うのが一番ですね。


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