滅菌の忘れ物


手術をする時に必要になるのが、手術器具です。
手術器具は、オートクレーブと言う器具を用いて、
術前に滅菌をしておかなければいけません。

滅菌をしていない器具には、表面に雑菌がついていますので(目に見えなくとも)、
傷口に雑菌がつくと、感染が起きたりして、
体に害を及ぼしてしまいます。

ところで、手術の器具として何が必要かということは、
手術の種類によって異なっています。

去勢手術のように鉗子とメス柄、ピンセットがあれば行えるものもあれば、
もっと複雑な手術で、特別な器具を用いないとできないような手術もあったりします。

術者にとって手術器具と言うのは第三の手であり、
ある特定の手技のために特殊な役目を果たしてくれる魔法の手のようなものです。

子宮をお腹の中から吊り出して来る時には、
「子宮吊り出し鉤」という器具がないととても難しいですし
(それ以外で吊り出した事がないです)、
目の手術をする時には、目を開いておいてくれる器具を取り付けておかないと、
手術どころではありません。

毎回器具の準備をするときは、手術をする時に、
次はこれを使って、その次これで、と、
手術の手技の順番を頭の中でシミュレートしながらそろえて行きます
(うちは院長が滅菌の準備をしています)。

頭の中で手術が終わる頃には、手元に滅菌するべき器具もそろっていますので、
難しい手術のときには、それほど忘れ物と言うのはありません。

忘れ物をしてしまっていると、あわてて途中から滅菌したり、
「特別な手」を欠いたまま苦労して手術をする事になりますので、
忘れ物をしてしまわないように、気をつけなければいけません。

ところで、滅菌の忘れ物をしやすいのは、
難しい手術よりもむしろ簡単な手術の時だったりします。

ありふれた手術の時には、頭の中でシミュレートなどもしないまま、
ぱっぱかぱっぱか滅菌缶に器具を放り込んで行きますので、
さあ手術をするぞと始めてみると、
メス柄を忘れていたとか、ピンセットを忘れていたとか、
忘れ物をしてしまっている事もしばしばです。

ありふれた器具の場合は、"不測"の事態に備えて、
ガス滅菌をして用意をしていますので、
問題がないと言えば問題がないのですが、
AHTさんに、
「忘れちゃったから滅菌器具を出してくれない?」
というのも恥ずかしいものです。

手術の時に困らないようにするためにも、
「院長〜」
と言われないようにするためにも、
忘れ物には注意したいところですね。


このHP内の文章、イラストの無断転載を禁じます。
著作権の一切は二本松昭宏に帰属します。
ライン

あなたのご感想を心からお待ちしております。

おなまえ(ハンドルでも)

メールアドレス(できれば)


性別

メッセージ・ご感想