狂犬病の集合注射はまだ必要か


なかなかに刺激的なタイトルですが、
別に獣医師会や行政にケンカを売っているわけではありません。

春先になると始まるのが「狂犬病の集合注射」です。
都会などでは、もうすでに集合注射が廃止され、
動物病院に連れて行って直接注射してもらう
「個人注射」だけになっているところもあります。

集合注射を存続させるかどうか、個人注射だけにするかどうか、
というのは、地域によっては、今も議論中のところがあるようです。

結論から言えば、

1.集合注射をなくして、個人注射だけでいけるのなら、なくしてもかまわない
2.でも、集合注射をやめて、注射率が下がるようであれば、その地域ではなくせない

という所だと思います。

都会などで、100mくらい歩けば動物病院がある様なところでは、
わざわざ集合注射などしなくても、
動物病院に行ってもらって注射してもらえば、それで良いと思います。

でも、都会ではない、地方などだと、
「農家の庭先で犬を飼っていて、一番近い動物病院まででも、1時間以上かかる。」
というような人も実際問題います。

集合注射に参加したとき、
僕の町から遠く離れた山あいの集落に行ったとき、
まるで日本昔話に出てくる様な山村に風景に出会った事もあります。

そういうところに動物病院ができるかと言えば、
人口密度も低く、採算が合わないので、
動物病院はなかなかできません。

おまけに、高齢者が多くなっているような地域だと、
車もないので、犬を動物病院まで連れて行けない、
という人も、たくさんいます。

そういう人のところには、集合注射の会場が近くに開かれ、
遠くの動物病院まで行かなくても、
近くて便利に受ける事ができるようにしてあげる事が必要です。

地方での集合注射は、場所をたくさん区切って、
かなり家の近くまで行って行いますので、
集合注射の方が、狂犬病注射だけに関して言えばとても便利です。

以前、注射会場の予定注射頭数が"1頭"となっていたので、
何だろうと思っていたら、おばあさんが一人で暮らしている、
山あいの一軒家の前で止まり、
役人さんが、「おーい、ばあちゃん来たよー。」
と、おばあちゃんに呼びかけていた事がありました。

病院までの移動手段と距離がネックになっている人にとっては、
集合注射があることは助かると思います。
それで接種率の向上につながるのなら、意義のある事だと思います。

ところで、僕も集合注射で毎年そういった地域に行っている中で、
ひとつだけ気になるのは、そういう、
「狂犬病は会場が近くで開かれるから受けに行く」
という人は、それ以外のことで動物病院に行ったりなどしないわけで、
ということは、フィラリアや混合ワクチンなど、
犬にとって大切な予防、というものはおそらくしてもらってないわけです。

そんな飼い方で良いのか、と思いつつ、
「じゃ、お前がそういう地域で開業しろ」
と言われると、それも困ってしまうわけで、非常に悩ましいところです。

それにしても、集合注射のときは、
狂犬病注射を背中に打つのでさえ一苦労な犬がごろごろいます。
そういった犬がこぞってフィラリアの採血をしに来てくれたとしたら、
それも、何とも想像しただけで大変そうではありますが・・。


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