集合注射と個人注射、どっちがいい?
狂犬病の注射を受けるには、二つの方法があります。
それは、日時と場所をきめて各地域で開かれる「集合注射」と
動物病院に行って受ける「個人注射」です。
どちらで注射をしても、注射した事にはなりますが、
どちらの方が、"犬にとって"良いかと言えば、
それは比べるまでもなく個人注射に軍配が上がります。
僕は集合注射にも参加していますので、
動物病院に来院するよう誘導しようとしている、
なんて意図はないのですが、"犬にとって"という視点で考えるなら、
結論としてはそうなります。
集合注射の目的は、接種率をあげることです。
犬を飼っている人の家の近くまで行ってうってあげる、
ということはとても便利なのですが、
どうしても、集合注射にはいろんな犬が来ます。
すると、会場に来た犬は他の犬を見て吠えますので、
気の弱い犬はストレスを受けます。
また、健康診断は、一通り健康状態を訪ねはしますが、
動物病院で、体重と熱を測り、個別に健康診断をするのと比べると雲泥の差です。
健康診断を済ますと注射となりますが、
集合注射では、かなり太めの針を使います。
なぜなら、太くないと、嫌がる犬に"一撃で入れる"ことができないからです。
集合注射には、獣医師を見ると吠え、
噛み付いてこようとする恐ろしい犬もいます。
そんな犬に対して、背中の皮膚をつまみ上げ、
皮膚を貫通していない事を確認して、
ゆっくり注射液を入れて行く、ということは不可能です。
そんな場合、犬が油断しているところを見計らって、
後ろから近づき、お尻の筋肉内に、"一撃で"注射する事になります。
もしくは、鉄製の檻にいれ、動きを封じた上でお尻に一撃する事になります。
細い針では一撃で全量が入りませんので、注射器には太い針が付いています。
もちろん、会場でも、おとなしい犬には、背中の皮膚をつまみ上げ、
病院と同じように注射しますが、針自体が太いので、どうしても痛みが強くなります。
それに対して、病院では、細い針を用いて注射をします。
僕の病院では、極力注射したときに痛みを感じないよう、
注射液の入ったバイアルを刺した針は新品の針に換え、
新品の針で注射するようにしています。
針先が鋭利であれば、すっと皮膚の中に入って行くので、
痛みはほとんど感じません。
バイアルを刺すだけでも、針先は多少切れ味が悪くなります。
まとめると、動物病院での個人注射には、
1.喧噪な状況を避けられるのでストレスが少ない
2.しっかりした健康診断を受けてから注射する事ができる
3.痛みやストレスが最小限になるよう、気をつけてもらえる
という利点があります。
めったにないことですが、注射した後で予期できない反応が起きたときに、
きちんとした対応をすることができる、というのもメリットです。
それに、狂犬病の注射の時期は、
ちょうどフィラリアの検査の時期と重なりますので、
春先に動物病院に行けば、ふたつのことを同時に済ませる事ができます。
もちろん、集合注射にも、
会場が近くまで来るので便利
という最大の利点があります。
結局、どちらがいいかは、飼い主さんがどちらを選ぶか、それ次第です。
それにしても、狂犬病の集合注射というのは、
普段動物病院に行かない様な恐ろしい犬がちらほらと集まって来ています。
飼い主も制御できない様な恐ろしい犬が来ているときには、
本当に滅入ってしまうところです。
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