近所の人の「予防しなくていいよ」という言葉


犬で「予防」というと、狂犬病、フィラリア、混合ワクチンというのが大切なものです
(ノミもありますが)。

フィラリアと狂犬病をセットで受けに病院にやって来る人も多いのですが、
その中には、混合ワクチンがしばらく抜けている(あるいはまるきりしていない)人もちらほらいます。

そんな時、
「混合ワクチンもしておいた方が良いですよ」
と言った時、たまに返って来るのが、
「近所の人に、そんなのしないで良いよ」
と言われた、という答えです。

ジステンパーやパルボも昔に比べると、
ずいぶん発生率は減ってはいるのですが、
かと言って、
「だからしなくていい」
というものかと言えば、そうではありません。

なぜなら、昔と比べて発生が減って来たのは、

多くの飼い主さんがしっかり予防をするようになって来てくれた

からです。

多くの飼い主さんがワクチンを受けさせて、
多くの犬が免疫力を持っていて、
集団免疫力が高くなって来ているからこそ、
ウイルスの集団発生、ということにならず、
結果として自分の犬も守られているという事です。

なぜ、自分のところの犬がワクチンをうっていなくても感染せずにすんでいるかと言えば、
他の多くの犬がワクチンをうっていて、ウイルスを出していないために、
環境にウイルスが汚染されておらず、
そのために守られているからです。

もし、「今はウイルスの発生が少なくなって来ているからもういいや」
とワクチンをうたない人が増えるとしたら、
ウイルスに感染してウイルスを排泄する犬が増え、
環境に多くのウイルスがまき散らされる事になります。
そうなると、ウイルスの集団発生につながってしまいます。

したがって、「減って来ているからしない」
という言葉は正しくはありません。

しかもジステンパーもパルボも、まったくなくなったわけではなく、
まだちらほら出ている病気です。

全くなくなったのであればたしかにワクチンをうつ意味はそれほど高くないかもしれませんが、
発生する可能性のある病気で、
みんなの予防で押さえ込まれている病気の場合、
みんなが予防を止めてしまうと、
急展開してとんでもない事態になってしまうと言う可能性は十分にあります。

実際、ジステンパーやパルボも時折集団発生していますし、
断続的に新しい株が発生したりして、
「再興感染症」として注目されているウイルスでもあります。

問題は、なぜか獣医師が説明する言葉よりも、
「近所の人」が言った言葉が信用される事がしばしばある、という事ではありますが、
獣医師として説明している言葉には、
それなりの根拠がありますので、
それなりに信用して欲しいとは願うところです。


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