犬の生理出血は、人間のとは異なる


獣医師にとっては当たり前の知識でも、
飼い主さんにとっては当たり前でないということもしばしばです。
中でも時折驚かれるのが逆に意外なことが、
「人間と犬との生理の出血の違い」についてです。

人間の生理出血は、排卵の後しばらくしてから起こります。
排卵の前後は、受精卵が子宮内に降りて来た時に、
着床して妊娠を維持できるよう、子宮内が準備を整えます。

せっかく準備をしていても受精卵がやってこず妊娠が成立しなかった時には、
子宮壁は不要となりますので、壁がごっそりとはがれ落ちます。
人間においては、それが生理の出血となります。

ポイントは、人間の生理出血は排卵からずっと後の話であり、
生理が来た時は妊娠可能期間を終えてしまっているということです。

それに対して犬の場合は、生理出血が見られるのは、
発情前期と言う、排卵前の段階である事が特徴です。

犬では発情期の前に、発情前期と言う段階がありますが、
この時には、膣壁が浮腫状となり充血して、
血液がにじみ出て来ます。

発情前期は犬によって個体差があるのですが、だいたい7~10日ほどです。
発情前期が終わると出血は終わり、
浮腫状になっていた陰部も浮腫がなくなり、外観もすっきりします。

発情前期の間はオス犬が近づいて来てもメスは受け入れないのですが、
発情期に入ると交尾を許すようになります。

おおむね発情期開始の2日目あたりが排卵日なのですが、
その前後に交尾を行えば、高い確率で妊娠します。

犬の場合は、発情出血は排卵の前ですので、
出血が見られた時には、その出血が終わってからが、
一番妊娠に気をつけなければいけない期間です。

出血の見られるタイミングが違う事に加え、
人間の場合は子宮からの出血ですが、
犬の場合は膣壁からの出血であるということも大きな違いです。

獣医師にとってはこのことは当たり前の事なのですが、
飼い主さんに話をすると案外驚かれる事が多いです。

そう言えば、この間も猫で、
「うちの子まだ生理出血がないんですけれども」
と言っていた人がいました。

細かい繁殖のメカニズムや方式も、
動物によって全然違っていたりします。
長い進化の過程で、それぞれの動物にあっているやり方を身につけて来ているのだと思いますけれども。


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