ホテルとワクチン
僕の病院では、ホテルも一応やっています。
ただ、病院なので、お預かりする条件は、「
ワクチンをうっていること
」が条件とさせていただいています。
病院は、不特定多数の動物が来るところです。
そして、病院の他のケージには、入院中の子もいます。
病院のケージは、ホテルをするためにあるわけではなく、本来、
入院治療が必要な子のために備えてある
ものであり、飼い主さんからのホテルへの要望にもこたえるために、ケージの余剰部分を用いてサービスを提供しているものです。
動物は、
元気そうに見えても、実はウイルスを持っているということもあり得ます
。なにより、ウイルスは目に見えるものではないため、
外から見て、ウイルスを持っているかどうかは分かりません
。
特に、猫では、元気そうに見えていてもウイルスに持続的に感染していて、症状が出ていないだけという個体も、実際ごく普通に存在します(
猫伝染性鼻気管炎・カリシウイルス
)。
ウイルスを持っていて、
不顕性感染
という状態であったときに、いつもと違うところに連れてこられたために、
ストレスがかかり発病
してしまうということもあります。
また、元気そうに見えて、発症していなくても、
持続的にウイルスだけ排泄していて、周りの子に病気をうつす
ということもあります。
病院の中の入院ケージは、それぞれ別の個室にはなっていますが、それでもウイルスを排泄する子が隣にいるのなら、ウイルスへの暴露の可能性が高くなってしまいます。
したがって、ワクチンをうっていない子を預かるということは、
1.
預かった子が調子を崩すとトラブルになる可能性が高い
2.
ウイルスを排泄していると、他の子に迷惑をかける
という危険性があります。
したがって、
ワクチンをうっていない子を預かるということは、うちではできません
。
もし、ワクチンをうっていなくて、どうしても近日にという場合には、
インターフェロン
をうって、
体を抗ウイルス状態にしておいてから
ホテルという選択肢もあります。
この間も、ワクチンをうっていないけどホテルに預かって欲しいという問い合わせがあり、ワクチンをうっている子だけ預かっているということと、ホテルの希望日まで日にちがあるのでそれまでにうってはいかがですかということを伝えたのですが、「そんな立派な猫じゃない」「なんでそんないけずなこと言って預からないんだ」という感じでした。
僕がけちで言っているような捉え方をされると、悲しくなってしまいます。
一般的に、
都会に比べて田舎の方が、ワクチンの接種率や飼い主さんの意識は低くなります
。
僕の病院のあるところは、地方の小都市なので、どちらかというと田舎です。そのためか、きちんとしたことをしようとして、それを説明しても、なかなか理解してもらえない状況になることもしばしばあります。
そういう飼い主さんの意識を向上させることも、動物病院の仕事のひとつではありますが、言っても病院に来なくなって終わったり、話を聞かずに会話をうち切られてしまったりと、なかなか辛いところはあります。
それにめげずに、地道に、理解してもらえるように説明していこうと思っていますが、なぜワクチンをうっていないとホテルに預かってもらえないのか、ということの方にもご理解をいただけるとうれしく思います。
重ね重ね思いますが、この仕事で一番難しいのは、飼い主さんにきちんと理解してもらうことです。
このHP内の文章、イラストの無断転載を禁じます。
著作権の一切は二本松昭宏に属します。
あなたのご感想を心からお待ちしております。
おなまえ(ハンドルでも)
メールアドレス(できれば)
性別
男
女
メッセージ・ご感想