ホテルとノミと


僕の病院では、ペットホテルもしています。
特に経営的に重要視しているというわけではないのですが、
飼い主さんに対してのサービスのひとつとして行っています。

ただ、動物病院であるということで、
気をつけないポイントはいくつかあります。

病院では病気の子もいますし、不特定の動物がやって来ますので、
預かる際には、ワクチンとノミ、フィラリア(犬は)を予防している動物だけを、
ホテル可の対象としています。

ワクチンは言うまでもなく伝染病の伝搬防止のために、
一番基本的なポイントなのですが、
案外見落としがちなのが「ノミの予防」です。

冬場はさておき、僕の病院では、
最低限4〜10月くらいは、犬舍に入れる動物については、
ノミの薬を付けてもらうようにしています
(ホームセンターの薬は不可)。

なぜかと言えば、ノミ・ダニの薬を付けておいてもらわないと、
他の動物との間でノミ・ダニをうつしあう可能性がありますし、
ノミ・ダニが犬舍に持ち込まれると、
犬舍や病院内が"汚染"されてしまう可能性があるからです。

ノミの成虫は卵を産み落としますので、
それが犬舍の中にまき散らされて、
最悪犬舍が繁殖場になったりすると大変な事になります
(こまめに掃除をしていればあまり可能性は高くないでしょうけれども)。

ダニがいたりすると、落ちたダニはわらわらと動き回り、
床を徘徊する事になります。
ダニが床を這いずっているところを見つけたりしたら、
顔が引きつる思いをする事になります。

それにまして、一番嫌なのは、
ノミ・ダニ駆除をしていない動物を預かったとき、
お返しした後で飼い主さんが動物にノミやダニがついているのを見つけたりした場合、
「動物病院でうつされたんじゃないのか」
とクレームになる事があるという事です。

ずいぶん以前も、帰った動物にダニがついていたけど、
うつすとは何事だとクレームがありました。

うちでうつしたのかどうかは分かりっこないですし、
そもそもその子にダニ駆除の薬を付けていないのも要因のひとつではあるのですが、
動物病院に預けて、その後でダニを見つけた人は、
しばしば動物病院が悪いというように判断するようです。

したがって、ノートラブル、ノークレームですっきりしようと思ったら、

・ペットホテルを預かるのであれば、預かる前、
 もしくは預かる時に駆除薬を付けさせてもらう
・ノミ・ダニの薬を付けていない動物は預からない

ということに統一するのが一番です。

最近はそうしているので、特にお帰りの後でややこしい事になった事はないのですが、
先日は逆に、
「この子はそんな薬は付けた事がないので、そのまま預かって欲しい」
という飼い主さんの要望がありました。

小型犬の室内外の子だったのですが、
うちの方針を説明した上でつけさせてもらうことにしました。

しばらく、
「この子はノミなんかつかないのに・・」
などとおっしゃっていましたが、
昔クレームがあった話や、その後、原則を統一させるようにしたこと、
うつすだけじゃなく、うつされることもあるし、
そのためにも犬舍に入れる子は全頭させてもらっている事をお話しすると、
ようやく納得していただいたようでした。

ノミがいるように見えない子にまでする必要があるのか、
というところですが、原則を破ると、
いずれ必ずもめるようになるときがやって来ますし、
僕自身、預かってからノミを見つけて、
"しまった"と感じた事も何度もあります。

預かった時点でノミがいるのを見つけた場合にも、
同じ部屋に預かっている子にあらかじめ駆除薬を用いていれば、
予防もかねているため安心していられる事が出来るのですが、
薬をつけていないと、帰った後でクレームが来ないか冷や冷やする事になります。

薬をつけていない状態だと、うつすだけではなくうつされる可能性もあるわけで、
飼い主さんと獣医師が、お互いに安心できるようにするために、
予防できるものは予防しておいてからホテルとなった方がベストだと思います。


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