減感作療法、はじめました


 アトピーと言うのは、皮膚がぼろぼろになってしまい、
動物もひっきりなしにぼりぼりと皮膚をかくという、
飼い主さんにとっても動物にとっても辛い病気です。

獣医師にとっても、コントロールが難しかったり、
ステロイドを減らせなかったり、飼い主さんに不満を持たれやすかったりもしますので、
よくある病気でありながら、けっこうやっかいな病気ではあります。

今までは、僕の病院では食餌療法と内服薬、シャンプー療法などでコントロール、
というのが基本だったのですが、
最近、新しい治療の選択肢を取り入れ始めました。

それは、「減感作療法」という治療です。
これは分かりやすく言えば、
低用量からアレルゲンを注射していき、
用量を次第に上げていく事によって、体をアレルゲンにならして行く、
というものです。

主なメカニズムは、IgGの増加とTh1/Th2バランスの改善です。

アトピーの時にメインのアレルギー関与抗体となるのはIgEです。
IgGというアレルギーに関与しない抗体を増やす事によって、
アレルギー関与抗体であるIgEにアレルゲンが補足される前に、
アレルゲンを吸着してしまうと言う事が理論の一つです。

もうひとつのTh1/Th2バランスというのは、もう少しややこしい話です。
体の免疫は、

Th1:細菌・ウイルスへの免疫
Th2:カビ・アレルゲンへの免疫

がバランスをとっている事によって成り立っているのですが、
アトピーの時は、Th2側に免疫が傾き、
免疫がアンバランスになっていると考えられています。

減感作療法によって、Th1側にバランスを戻す事によって、
アトピーの症状を改善させる事が期待されます。

減感作療法の注意点は、
アレルゲンを注射して行きますので、
アナフィラキシーなどの副作用に注意しながら行っていかなければならない、
ということがひとつです。

成功率は60〜80%と比較的高いのですが、
長期の細菌感染も併発して来ていると、
免疫バランスはTh1側に傾いて来て、体の免疫バランスが複雑になって来ており、
減感作療法には反応しにくいとされています。

そのため、適応症例は、
5才以下で、赤い炎症を持っている、
まだアトピーの初期の段階の症例です。

高齢化して来ていて、細菌感染が長期化して来ているような症例では、
反応が弱い可能性があります。

ネックは、手間ひまと初期費用がかかる事です。
まずIgE検査をして、アレルギーの原因を調べた後、
その結果を元に、減感作薬を作成します。

減感作薬を作成したら、約9ヶ月間かけて、
低用量から開始して、徐々用量を増やして行きながら、
計26回、スケジュールにそって注射をして行きます。

最初は2日に一度から始めますが、
徐々に間隔は開いて行きます。
最終的に1ヶ月に一度くらいになれば、
飼い主さんも楽になるのですが、
それまではかなりまめに来てもらわなければいけませんので、
飼い主さんにとってもけっこう大変と言えば大変ではあります。

手間ひまもかかりますし、お金もかかりますので、
飼い主さんに決定してもらう前に、
じっくりしっかり説明して、よく理解してもらう事が必要不可欠です。

それなりの覚悟をしてもらわなければいけませんので、
初期投資と手間ひまをかけてでもなんとかしてあげたい、
と思ってくれる人でなければ有力な選択肢にはなりにくいです。

今のところは、まだ始めたばかりですので、
成果と言うのはこれからですが、効果は期待できますし、
根治まで持って行ける治療法と言うのはこれ以外にはなかなかありませんので、
勧められる患者さんには、積極的に勧めて行こうかと思っています。

アトピーの動物を飼っている方で、興味のある方は、
http://www.sequo.jp/~narai/
をご覧下さい。
ちなみに、僕はもう少し実績を積んでから登録しようかと思っていますので、
まだリストには登録しておりません。


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