フィラリアの予防、いつからするか


フィラリアの予防をいつからいつまでするか、
ということは、犬を飼っている人にとってはとても大切な事です。
フィラリアと言うのは、今もそこら中にある病気で、
僕の病院でも、フィラリアにかかったせいで
命を落としてしまう犬というのも、ごく普通にまだいます。

フィラリア予防と言うのは、フィラリアにかかって
命を落とさないようにするためにとても大切なものですが、
フィラリア予防のメカニズムというのも、実際には、
あまりきちんとは理解されていない事が多い様な気がします。

フィラリア予防と一般に言っていますが、
実際には、

「フィラリアの予防薬」には、
フィラリア感染を"予防"する効果はこれっぽっちもありません。


蚊が犬を刺すと、その傷口から体内に、フィラリアの幼虫が侵入して行きます。
犬に侵入したフィラリア幼虫は、皮下織で約3ヶ月成長し、
それから静脈系に侵入して、肺動脈末端へと移動します。

フィラリア幼虫が成長してしまうと、薬を飲んでも殺せなくなるのですが、
まだ若い段階であれば、薬を飲む事によって殺す事ができます。

その、"フィラリア幼虫を駆虫する薬"が、
いわゆるフィラリア予防薬と言われている薬です。

したがって、フィラリア予防薬は、実際には幼虫の駆虫薬です。
本当の予防効果、すなわち「体内に侵入させないようにする」
効果というのはありません。


イベルメクチン製剤で、感染後15-50日の幼虫を確実に殺す事ができ、
ミルベマイシン製剤では感染後15-60日の幼虫を確実に殺す事ができます。

フィラリア予防薬を毎月飲むという事は、
フィラリアの幼虫をためて殺し、ためて殺しということを、
毎月定期的に行うという事です。


したがって、フィラリアの予防薬は、
蚊が出始めたからすぐに飲まないといけない、というものではなく、

蚊が感染能力を持ち始めて、
一ヶ月ほどした頃から、そろそろ飲み始めれば駆虫が可能です。


最近はHDUという、蚊の感染能力獲得時期を予想する式が出ていて、
だいたいの病院はそれにしたがって予防時期を考えています。
僕の地域であれば、感染能力獲得時期は5月末から10月末くらいですので、
おおむね6/1に開始して、12/1まで飲めば、
大丈夫、ということになります
(1998年だけ、5/8に開始で終了が11/2でした。
 こういう例外的な年もありますので注意が必要です)。

沖縄や九州南部を除いて、本州では、5月開始もしくは6月開始となります。
たまに、4月開始としている病院もあるようですが、
毒にはならないものの、フィラリア予防のためには必要の無い投薬です
(特殊な地域を除きます)。

4月に飲ませたとしても、蚊自体がまだフィラリア幼虫を
感染させる能力も持っておらず、
ましてや皮膚の下には、まだフィラリア幼虫はいません。

5月に飲ませるのなら、まだ念のため、
という言葉も当てはまりますが、
4月の投薬開始には医学的理由はありません。

4月に投薬開始にする理由があるとすれば、それは純粋に
動物病院にとっての経営的な理由、それのみとなります。

4月の投薬開始について言えば、
「悪いとは言えないが、無駄だ」
というのが、一般的な見解になると思います。

僕の地域であれば、本来は6/1開始でも十分なのですが、
一応、心配なので早く始めたい、という人のために、
フィラリアの感染環と投薬日のことを説明した上で、
5/15スタートのパターンも選択肢も提示しています。

6/1スタートの場合は、12/1までの投薬で計7回、
5/15スタートの場合は、12/15までの投薬で計8回となります。
11月で終わると早いですので、12月までは飲ませた方がいいです
(もちろん、うちの地域の話です)。

以前、4月に投薬を開始して10月で終わってしまっている、
という人もいましたが、それでは10月末に侵入した分が、
駆虫されずに成長してしまい、感染成立してしまう可能性がありますので、
予防時期の設定としては不合格です。

フィラリア予防というのは、簡単なようでけっこう難しい話ではあります。
地域によっても違いますので、いつからいつまで飲ませるかは、
かかりつけの獣医さんとよく相談して下さい。


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