検査なしでフィラリアの薬出せ?


フィラリアの薬というのは、動物病院でも、一番良く処方している薬のひとつです。
その中で、時折あって困ってしまうのが、
犬を連れてこずに、本人だけやって来て、
「フィラリアの薬だけちょうだい。」
と言ってくる人です。

フィラリアの薬は、何もなしにポンと渡せる様な薬ではありません。
フィラリアの薬は、「要指示薬」といって、
決められた手順を踏まないと、飼い主さんに出してはいけないと、
法律で定められているお薬です。

カルドメックチュアブルなんかを、箱単位でもらっている人なら、
後ろを見ていただけると分かると思いますが、
箱の後ろには、
「薬を処方する前に、健康状態を確認し、
 ミクロフィラリア検査、もしくは、抗原検査などの検査をして、
 陰性である事を確認してから薬を処方する事」
と、処方に際しての指示が書いてあります。

それは、チュアブルだけではなく、ミルベマイシンやモキシデクチンなど、
フィラリアの薬として、日本国内で認可されているものは、
すべてそういう指示が書いてあります。

もし、その指示を守らず、検査も健康診断もせずに薬を出した場合には、
薬事法違反となってしまいます。
出した方も、出された方も、法律違反で処罰の対象になってしまいます。
したがって、元気だから検査なしで薬だけくれと言われたとしても、
獣医師としては、はいどうぞと出すわけにはいきません。

そもそもなぜ、フィラリアが検査なしでは出してはいけないかと言えば、
もしフィラリアに感染しているときに、それを知らずに薬を服用すると、
死滅したミクロフィラリアによって腎炎や肺炎が引き起こされたり、
アレルギー反応を起こして死亡したり、
場合により、ベナケバシンドロームと言われる急性期の症状を起こす事があるからです。

去年きちんと飲ませていたと思っていたとしても、
犬がぺっと吐いていたり、
たまたまお腹の調子が悪くて薬の吸収が悪かったりすると、
薬がきちんと効いておらず、フィラリアが感染している可能性があります。

うちの病院でも、たまに、きちんと飲んでいるのに、
感染してしまう事が出る事があります。
したがって、検査なしで薬を出す事は、僕の病院ではしていません。

ただ困るのが、たまに、
「他の病院では、検査なしでも薬を薬を出してくれたぞ。」
と、クレームだか脅しだか分からない様な文句を言われる事です。

要指示薬を指示を守らずに出す時点ですでに薬事法違反の犯罪なのですが、
当の飼い主さんにはその意識がなく、

検査なしで出してくれる病院=融通の利く病院
検査なしで出さない病院  =融通の利かない病院

というような感じで言われる事もあります。

実際、今年もうちの病院では、3頭ほどが抗原検査で陽性になっていました。
今年陽性になった子は、全て予防していなかったためにかかった子でしたが、2年に一度くらいは、
「しっかりと予防薬を飲ませていたつもりなのにフィラリアにかかってしまった子」
が出ています。

予防薬の駆虫薬自体は駆虫率が100%ですので
(日本では100%でなければ認可されません)、
それはしっかりと薬が服用できていなかった子であると思われます。

感染してしまっている子に対してフィラリアの薬をそのまま飲ませると、
副作用が出る可能性がありますので、
やはり検査なしで出すのはリスクがあると感じるところです。

フィラリアは、国内では全国でまだ発生している病気です。
しっかりと検査をして、予防をして行ってあげて欲しいと願うところです。


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