「バイ菌扱いするのか!?」
動物病院は、病気の動物がやって来るところです。
そして、病気の中には、感染症の病気もしばしば見られます。
病院の役目は、病気の子を健康にしてあげる事ですが、
逆に、病院に来た子を、病院のせいで
病気にしてしまったりしないように気をつけなければいけません。
そのため、動物病院では、感染性の病気を疑わせる子の場合は、
とても気を使います。
動物病院ではどこででも、感染性の疾患の子を、
普通に待合室で待ってもらうという事は極力避けていると思います。
一番良いのは、感染性疑いの子用に、
出入り口と待合室、診察室を別々に作り、
来院からお帰りの時まで、
その他の患者さんと隔離できるようにする事です。
ただ、それをするには、病院を建設する時点で
かなり土地とお金に余裕のあるところでないとなかなかできません。
実際には、そこまで施設を整える事は難しい病院も多いかと思います。
僕の病院でも、出入り口と待合室、診察室は一般の人と共有です。
ではどうするのかと言えば、感染性疑いの場合は、時間をずらして、
一般の診療と一緒にならないようにするしかありません。
診察時間にお越しいただいてしまった場合は、
昨日の記事でも書いたように、
車や外でお待ちいただいて、順番が来たら、
すぐにそのまま診察室に直行してもらう形にしています。
動物にウイルスがついている場合、飼い主さんの手や衣服、靴にも
ウイルスがついていると見なさなければいけません。
通った後はすぐに拭くようにして、
病院の中に触らないようにしてもらいます。
できれば、スタッフがドアを開けて、
どこにも触らずに入って来てもらえるようにしますが、
もしドアなんかをお触りになった場合、
なるべく目立たないように気をつけながら、
触った直後に触った場所を、消毒するようにしています。
自分の動物から他の動物に移しては悪い、とご理解いただける方には、
「ごめんなさい、お通りのところを消毒させてもらいます。」
と断れば、
「ええ、いいですよ。
こちらこそごめんなさいね。」
と、すんなりとご理解いただける事がほとんどです。
でも、感染や消毒といった概念が頭になく、
動物と自分たちが感染源になり得るとお考えいただけなかった場合、
自分たちが通った場所や、触った場所を消毒される事で、
まるで自分たちがバイキン扱いされたような気分になって、
不愉快なお気持ちになってしまう方もいるかもしれません。
僕の病院でも、以前、
「バイキン扱いするのか!」
とお怒りされた方がいらっしゃいました。
でも、ウイルスの怖さとやっかいさ、
病院にとっての消毒の責任をとうとうとご説明すると、
じきにお怒りも収まり、ご納得いただけました
(20分くらい説明しましたが)。
「バイキン扱い」と言いますが、ウイルスはバイキンよりも、
はるかにたちが悪いものです。
何と言っても、人間の目には見えないからこそやっかいです。
一番いいのは、ウイルスを疑う様な症例では、
来院前に連絡を受けておいて、時間外にお連れいただく事ではあります。
ただ、獣医師にとって、明らかに「こりゃまずいだろ」という場合でも、
一般の飼い主さんにとっては、
その判断というのがつかない場合もあるでしょうから、
いきなり連れて来てしまう事があるのも、
ある程度やむを得ないところではあると思います。
そんなにしょっちゅうではないのですが、時折は診察時間内に、
突然怪しい子がやって来たりする事もあったりしてしまいます。
そんな時は、なるべく飼い主さんに不愉快な思いをさせないように注意しながら、しっかりご説明して、感染リスクを下げるようにしなければいけません。
すんなりとみなさんにご理解いただければいいのですが、
いつもそうとは限らないのが悩ましいところです。
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