前十字靱帯断裂の手術(アンダーアンドオーバー法)


運動中に突然キャンと鳴いて、それ以来跛行が続く犬が来院しました。
前十字靱帯という膝の関節内の靱帯の断裂が疑われました。
放置しておくと、膝の不安定から変形性関節症、反対側の膝の靱帯損傷の原因となるため、膝関節の安定化のための手術をすることになりました。

大腿部の筋膜を使って長い弁をつくります。
この筋膜を膝関節の内部に通すことによって切れた靱帯の代わりをさせます。
自分の組織なので異物反応などは出ませんが、靱帯と比べると強度は約3割しかないといわれています。
膝の関節内を確認して、損傷した半月板を取り除きます。
損傷した半月板は痛みの原因となり、持続的な跛行の原因となるため、ブラブラしているところはメスで取り除きます。
中央の白いものが除去した半月板です。内側後部の半月板がブラブラしていました。メスできれいに取れました。
膝関節内に弁を入れていきます。
先に作成した弁を、膝関節内の脂肪と脛骨前面の靱帯の下を通して膝関節内に通します。
続いて、大腿骨と、大腿骨の末端後部にある種子骨の間に弁を通します。
解剖学的に前十字靱帯と近い走行となります。
関節包を縫合して閉じます。
弁を折り返して、縫合していきます。
足の向きは上の写真と逆になっています。
弁をつくるために切開していた筋膜も閉鎖します。
続いて皮膚も縫合します。
バンデージをして手術は終了です。
最低6週間は歩行制限が必要です。
体重の負荷や激しい運動は代替靱帯が切れる原因となりますので、まずやせさせることが必要です。