犬の椎間板ヘルニアの手術

 

 


 ダックスフンドの後ろ足が突然動かなくなったということで来院となりました。
 診察の結果、椎間板ヘルニアの可能性が高いことがわかりました。
 右足がわずかに動く状態だったため、一旦内科療法を行い反応を見ましたが、病状が回復しないため、椎間板ヘルニアの手術をすることになりました。

 手術に先立って、まずどこでヘルニアが起こっているのかを特定する必要があります。
 脊髄造影検査を行ったところ、腰椎の3番目と4番目の間でヘルニアが起こっていることが分かりました。


 前後方向です。
 造影剤が流れているところには白いラインが写っていますが、腰椎の3番目と4番目のところには造影剤が流れておらず、脊髄腔につい間板物質が入り込んで脊髄を圧迫していることが推察されました。


 術部を消毒し、布のドレープをかけたのち、フィルムドレームをさらにかけ、術野が汚染されないようにします。

 皮膚を切開し、背中の筋肉を剥離していきます。
 出血に気をつけながら、脊椎に到達するまで剥離を行なっていきます。


 脊椎まで到達したら、ドリルを用いて椎体を削っていきます。
 熱で損傷を与えないように、生理食塩水で冷やしながら削っていきます。

 脊髄腔まで到達すると、予想していた通り、腰椎の3番目と4番目の間でヘルニアを起こしていました。
 慎重に孔を広げ、脊髄をむき出しにしていきます。
 手術の目的は、椎間板物質を取り除くことと、神経の圧迫を解除するために、椎弓の一部を除去することです。
 脊髄に触らないように気をつけながら、神経を圧迫している椎間板物質を除去します。
 器具の上にあるのはすべて、飛び出してきていた椎間板物質です。
 取り残さないように、脊髄の下側からも取り除きます。
 左下に、ここからヘルニアが起こって物質が飛び出てきていたという穴が見えています。
 椎間板物質をすべて取り除いたら、脊髄の上に脂肪組織をあてがっておき、筋肉を縫合した後、傷を閉じます。

 手術した次の日の写真です。
 次の日から歩いてくれました。

 椎間板ヘルニアは、神経の圧迫度合いによって予後が変わってくる病気です。
 グレード(1-5まで)が上がるほど予後は厳しくなってくるのですが、この子はグレード3
で中程度だったため、手術によって速やかに神経症状が改善することができました。
 ダックスフンドでは椎間板ヘルニアの発生が多いですので、太らないよう、腰に負担がかからないように注意して飼育してあげてください。



 突然腰が抜けたように後ろ足が立たなくなったというダックスフンドが来院でした。
 検査したところ、椎間板ヘルニアがおこり、脊髄神経が圧迫されていることが分かりました。
 椎間板ヘルニアは、一刻も早く手術しないと、時間と共に脊髄のダメージが悪化していきます。
 病状を説明した後、急いで手術することになりました。

 脊髄の手術に当たって、感染が起こらないように気をつけなければいけません。
 そのために、不必要なところを術野に出さないようにするための特殊なドレープで術野を覆います。

 脊髄にアプローチするために、脊椎の突起から背筋を分離していきます。
 背筋はとても発達しているため、脊椎まで到達するのは少し大変です。
 出血が起こらないように、また不用意な筋肉の損傷がおこらないように、慎重に作業を進めていきます。
 脊椎が露出されたら、高速電動ドリルで脊椎の骨を削っていきます。
 熱で脊髄にダメージを与えないよう、生理食塩水で冷ましながら削ります。
 脊椎に穴を開けたら、飛び出している椎間板物質を除去します。写真で器具の先に位置しているのが椎間板物質です。
 大量の椎間板物質が脊髄を圧迫していました。
 脊髄を極力触らないよう注意しながら、椎間板物質を除去します。
 穴をもう少し大きくします。
 片側からアプローチして、飛び出した椎間板物質を除去し、脊髄の圧迫を解除するための手術が、「ヘミラミネクトミー」という手術です。
 あとは定法に従い、閉鎖していきます。
 椎間板ヘルニアは、死ぬこともあれば、下半身麻痺などの後遺症状も残ることのある怖い病気です。
 手術をしたら、あとは何とか歩けるようになってくれるよう、こちらも祈るばかりです。
 症例の子は、術後少しずつ神経機能が回復してきているということで、何とか期待したいところです。