なんでスコップ用意してるのよ・・


 今回は少しブラックな話です。
 いかにも“地元のおっちゃん”という感じの飼い主さんが、体に腫瘍のある犬を連れてきました。
 大きな腫瘍があるのですが、ワンちゃんは意識もうつろでぐったりしていて、今にも危なそうな感じです。

 飼い主さんはぐったりした犬を前に、「もうあかんと思うけど、まあ一応見たってぇな」とおっしゃいます。
 腫瘍は今にも張り裂けそうにふくれあがり、腫瘍の周りは濃い色に変色しています。
 かなり危ないのは確かだけれども、手術をしないとどうしようもない感じではあります。

 そのため、「ものすごくリスクは高いけど、放置しておいたら助からないから・・」ということで、手術を勧めました。
 状態が悪いので手術を決断してくれるかな・・と心配していたのですが、案外暗い感じもなく、「まぁ、できることしたってぇな」とおっしゃいました。

 「とても危険な状態ですので、もしもの可能性も十分にありますので」と、口が酸っぱくなるほど説明しておきました。

 そして、息も絶え絶えの犬を相手に、数時間の格闘の後、、、なんとか無事手術は成功し、腫瘍を摘出することができました!
 麻酔が覚めると、心なしか犬も気分が良さそうにしています。

 麻酔が覚めたら、無事手術が終わったことを飼い主さんに報告しました。
 神経をすり減らしながらリスクの高い手術が終わったので、電話をかけながらこちらの心は弾んでいます。

 「こんばんは、〜ちゃんの手術ですが、何とか無事に手術を終えることができました!」

 すると、それを聞いたおじさんは、開口一番こう言いました。
 「
なんや、助かったんかいな。山に埋めようと思うて、もうスコップ買ってきとったのに。
 報告に喜んでくれると思っていたので、そのひと言にはがっくりでした。

 でも、家族でその子を大切には思っているようで、迎えに来てくれたときには、家族全員喜んでくれて、犬も尻尾を振っていました。
 まぁ、喜び方は人それぞれですね。