犬の角膜潰瘍

 大きな角膜潰瘍ができた犬が来院です。
 傷はかなり深く、角膜内層の薄い膜が透けて見える状態になっていました。このまま放置していれば、角膜に穴が開いて失明してしまう可能性もありますので、しゅん膜フラップをして、角膜を保護することにしました。

 左の方に見えているのが角膜の潰瘍です。
 潰瘍の真ん中は、角膜内層のデスメ膜が透けて見えている状態で、デスメ瘤の一歩手前でした。放置すれば危険な状態です。

 手術の目的は、しゅん膜で眼球を覆い、それで潰瘍の部分を保護する状態にすることです。
 しゅん膜で眼球を保護することによって、潰瘍の治癒が促がされます。

 左は、しゅん膜と眼瞼を縫合して寄せて来た状態です。
 眼瞼の上に、半分に切ったチューブを挟んで縫合します。
 同じように、3カ所を縫合します。
 これにより、眼瞼への圧力を分散します。
 角膜は、しっかりとしゅん膜で覆われ、保護されています。
 外側に、眼瞼縫合を1カ所施しておきました。
 内側は開いているので、目薬を差すことが可能です。
 手術終了です。
 この状態で、6週間がんばってもらいます。
 エリザベスカラーをつけて、目をこすらないようにしておきます。
 6週間経って、縫合を取ったところです。
 中央に白い部分は残ったものの、潰瘍はきれいに治ってくれていました。
 深い潰瘍では、中央部分が結合組織で埋められるので、どうしても角膜に後遺症状が残ってしまいます。
 人間だったら、もっと初期の症状で気がつくのですが、動物では、気づいたときには進行した状態、ということもしばしばです。
 ともあれ、眼球に穴が開いて感染などが起これば、眼球摘出をしなければいけなくなる可能性もありますので、なんとか破裂を防げてやれやれ、というところです。