犬の帝王切開

 犬の出産で、2匹正常に生まれた後、1匹が死産し、まだ苦しそうにしているということで来院されました。
 レントゲンで子宮内にあと2匹いることが確認され、超音波では1匹は心拍停止しているも、もう1匹は心臓が動いていました。
 このままでは、残る赤ちゃんとお母さんが危険なので、帝王切開の手術をすることにしました。
 麻酔は、プロポフォールとイソフルレンです。子供に悪影響が出ないよう、手術の手技は迅速にしなければなりません。

 お腹を切開し、やさしく子宮を外に出します。
 中に赤ちゃんがいますので、子宮自体は見つけるのが簡単です。
 ただ、手荒く扱うと、出血や破裂をおこしかねないので、注意深く扱わなければなりません。

 子宮全体を体外に出し、操作しやすくします。左が骨盤側です。2匹子宮内にいます。
 骨盤側の子を先に取り出しましたが、残念ながら亡くなっていました。
 残る子を子宮内から引き出します。
 胎膜などの子宮内容物は腹膜炎を起こす原因になりますので、周りにタオルを引いて、体内に入らないように気を付けます。
 胎盤がはずれるまでは胎児に酸素がいっていますが、胎盤がはずれると胎児に酸素が届かなくなります。
 胎児を子宮外に出した後、胎膜を破り、へその緒を鉗子で縛ったら、助手に手渡して、蘇生処置をしてもらいます。
 胎盤を子宮から取り出したら切開部位を縫合していきます。子宮の内容物が腹腔内に入らないように、暖かいAP水で徹底的に洗浄します。
 子供がいなくなったので、子宮は見る見る間に収縮していきます。
 きちんと縫合したら、隙間がないか確認して、お腹を閉じます。
 先ほど帝王切開で取りだした子です。
 無事呼吸が始まったようで、元気に鳴いていました。
 兄弟との再開です。
 お母さんも、麻酔から覚めたらすぐにこども達と一緒にしてやり、初乳が摂取されるようにします。