麻酔について


 麻酔の目指すもの:患者の不動化、痛みの回避、筋肉の弛緩

 ほとんどの場合、手術には麻酔を欠かすことができません。手術の手技は
ともかく、
麻酔に簡単な麻酔というものはありません。本人の年齢、健康状態、
基礎疾患、犬種によって、リスクや方法は変わりますが、大きな手術の麻酔も
小さな手術の麻酔も基本は同じです。
麻酔の目指すものはただひとつ、
安全に麻酔をかけて安全に麻酔をさます
いうことだけです。
 昔と比べると、安全性や覚醒と言った面では格段に進歩していますが、
現時点で体に対して
全くリスクのない麻酔法というものはまだ存在しません
健康な若いな個体においては生理的な活動に
予備機能があるため、
呼吸・循環機能が多少低下しても麻酔に耐えることができます。しかし、
疾患によって生活することで精一杯で予備機能が低下している個体では、
麻酔をかけることに耐えられないリスクが上昇します。

        ※※※麻酔のリスク※※※
       1.
呼吸抑制
       2.血圧低下や心臓抑制による
循環機能低下
       3.術後の誤嚥、その他

疾患毎の麻酔のリスク (1:低リスク ←→ 5:高リスク)

クラス1(健康) 健康な若い個体
クラス2(軽度) 新生児・老齢、軽度の全身疾患、軽度〜中等度の肥満、単純骨折、軽度心疾患
クラス3(中度) 中等度の全身疾患、軽度〜中等度の発熱、中等度の脱水・貧血、食欲不振、悪液質、貧血、慢性心疾患、慢性腎不全、複雑骨折、軽度〜中等度の胸部外傷
クラス4(重度) 死に至る可能性のある重度全身疾患、ショック、発熱、尿毒症、敗血症、重度の脱水・貧血、病的肥満、衰弱、糖尿病、胃捻転、重度の心不全・腎不全・肝不全、重度の肺疾患、重度の胸部外傷、横隔膜ヘルニア
クラス5(危険) 24時間以内に死亡することが予想される患者、進行性多臓器不全、重度のショック状態、重度の外傷、DIC

 一見健康そうな手術に見えても、実は肝臓が悪かったり、
腎臓が悪かったり、貧血があったり、・・と基礎疾患を持っている場合が
あります。そのため、6才以上の動物においては手術前の血液検査を
お勧めしております。
 簡単な手術手
技であったとしても、麻酔をかけるときの心構えは一緒です。
100%安全な麻酔はありませんが、獣医師は安全性が100%に近づくように
細心の注意を払う努力をしています。